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「なあ、三蔵?それ、美味いの?」
「煙草のことか。」
「うん。ただの煙なのにさ、美味そうに吸うよな、三蔵。」
「煙草の味は状況によって色々変わる。」
そう言って三蔵は実に美味そうに目を伏せて煙を吐き出した。
悟空にしてみればそんなもののどこが美味いのかはもちろん、状況によって味が変わる、というのもまったくわからない。
「イラついて吸うときは大して美味かねえよ。」
「そうなのか?じゃあ吸わなきゃいいじゃん。」
「イラついてるんだから吸わなきゃ意味ねえだろうが。」
「……その意味が分からないよ。」
愛煙家というのは概ね、そういうよくわからない理屈を捏ねるもののようだ。
しかもコレは三蔵だ。そもそも真っ当なことも、そうでないことも、一捻りしないことには気が済まない男だ。
「じゃあ、どんな時が美味いんだよ?」
「そうだな。至福の一服には三種類ある。」
「へえ~。何、何?」
「まず、しばらく強制禁煙の状態にあった後。」
ああ、それはわかる気がする。
悟空もさんざん空腹を我慢したのちの食事はいつにもまして美味いのだから、それと同じだろう。
「それと?」
「食後。」
なるほど、三蔵だけでなく悟浄も食後の一服は欠かさない。デザートみたいなものだろうか。
これも、わからないでもない。
「じゃあ、あとひとつは?」
「事後。」
「え?」
事後───とは?
悟空がきょとん、と三蔵を見上げると、三蔵はフィルターをくわえた唇の端を微かにあげ、空いた方の手でゆっくりとシャツ一枚を羽織っただけの悟空の背中を抱き寄せた。
「つまり、今まさに、それだ。」
悟空は薄い布越しに、さっきまで彼の唇や肌そのもので触れられ熱を発していた背中を、三蔵の手が悪戯に撫でてゆくのを感じてかあ、と頬を赤らめた。
「さて。これを吸い終わったら、次の美味い煙草の為にまた協力してもらおうか。」
「さ、三蔵!」
それじゃ、事後じゃなくて事前じゃんっ!──という実に赤裸々でまことに恥ずかしいセリフは
すんでのところで声にならずにすんだ。
「煙草のことか。」
「うん。ただの煙なのにさ、美味そうに吸うよな、三蔵。」
「煙草の味は状況によって色々変わる。」
そう言って三蔵は実に美味そうに目を伏せて煙を吐き出した。
悟空にしてみればそんなもののどこが美味いのかはもちろん、状況によって味が変わる、というのもまったくわからない。
「イラついて吸うときは大して美味かねえよ。」
「そうなのか?じゃあ吸わなきゃいいじゃん。」
「イラついてるんだから吸わなきゃ意味ねえだろうが。」
「……その意味が分からないよ。」
愛煙家というのは概ね、そういうよくわからない理屈を捏ねるもののようだ。
しかもコレは三蔵だ。そもそも真っ当なことも、そうでないことも、一捻りしないことには気が済まない男だ。
「じゃあ、どんな時が美味いんだよ?」
「そうだな。至福の一服には三種類ある。」
「へえ~。何、何?」
「まず、しばらく強制禁煙の状態にあった後。」
ああ、それはわかる気がする。
悟空もさんざん空腹を我慢したのちの食事はいつにもまして美味いのだから、それと同じだろう。
「それと?」
「食後。」
なるほど、三蔵だけでなく悟浄も食後の一服は欠かさない。デザートみたいなものだろうか。
これも、わからないでもない。
「じゃあ、あとひとつは?」
「事後。」
「え?」
事後───とは?
悟空がきょとん、と三蔵を見上げると、三蔵はフィルターをくわえた唇の端を微かにあげ、空いた方の手でゆっくりとシャツ一枚を羽織っただけの悟空の背中を抱き寄せた。
「つまり、今まさに、それだ。」
悟空は薄い布越しに、さっきまで彼の唇や肌そのもので触れられ熱を発していた背中を、三蔵の手が悪戯に撫でてゆくのを感じてかあ、と頬を赤らめた。
「さて。これを吸い終わったら、次の美味い煙草の為にまた協力してもらおうか。」
「さ、三蔵!」
それじゃ、事後じゃなくて事前じゃんっ!──という実に赤裸々でまことに恥ずかしいセリフは
すんでのところで声にならずにすんだ。
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